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*コラム②* 《出現》と3枚のサロメ

更新日:2021年8月20日

2021/8/19


左から、《ヘロデ王の前で踊るサロメ》、水彩の《出現》、油彩の《出現》

 ギュスターヴ・モローはサロメを似た構図で何度も描いている。全て1876年頃に描かれた作品だが、油彩の《出現》が最後に描かれた。

 比較して見てみると、サロメの印象はずいぶん異なる。《ヘロデ王の前で踊るサロメ》は東洋風の衣装を着、蓮の花を持った「宗教的な魔術師のような人物」のサロメを描きたかったと画家自身が残している。水彩の《出現》においては、神秘的な印象は薄れ、伏目がちに手を伸ばすサロメは、どこか弱々しく見える。水彩の出現の下部の余白部分には、画家による「これは下絵だから誰にも見せないで欲しい」という指示があった。一方で油彩の《出現》は、男のような骨格や、全裸であることから、雄々しい印象の方が強い。首へ向かって手を伸ばすというよりは、指を指してヨカナーンを弾劾しているようである。

 3枚のサロメの違いは何を意味するのか。モローのサロメの解釈について考えてみるのも一興である。


(担当:S.H. 編集:A.U.)


 
 
 

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